一次関数は中学2年生で学ぶ重要な単元ですが、比例の式にxなど文字を含まない定数項が入って計算が複雑になるため、苦手とする子どももいるはずです。

また、文章題では状況を数式に変換する能力が必要となり、さらに難しさを感じさせます。グラフの理解も含め、一次関数は総合的に難度の高い単元といえます。

本記事では、一次関数の基礎知識や基礎的な計算から、応用である文章問題の解き方まで解説しますので、苦手を克服するきっかけとしてみてください。

この記事のポイント
  • 一次関数の基礎知識
  • 一次関数の基本問題の解き方
  • 一次関数の応用問題の解き方

そもそも一次関数って何?

一次関数の応用問題の解き方

一次関数とは「y = ax + b」のように「y = 一次式」で書ける関数で、グラフであらわすと直線になります。

一次式とは文字がひとつだけ乗じてある式であるため、xが2乗されている式や、ax + b の aがゼロの式は1次関数とは呼びません。

また、一次関数は比例の式「y = ax」に似ていますが、b(定数項)が存在しています。定数項がゼロでも一次関数と呼ぶため、比例も一次関数の一種といえます。

一次関数は中学2年生で学ぶ内容であり、中3で学ぶ二次関数や高校で学習する三次関数を理解するために重要な単元です。

一次関数を学ぶうえで基礎となる比例・反比例が理解しきれていないという方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

関連記事:【中学数学】比例・反比例とは?

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一次関数の式の意味を知ると解き方がわかる

一次関数の式の意味を知ると解き方がわかる

一次関数では、以下2つの基本をしっかり押さえることが重要です。

  • ・「a」とは傾き・変化の割合のこと
  • ・「b」とは切片のこと

傾き・変化の割合とは、xが1進むごとにyが変化する量を指します。「y = 2x + 4」なら、xが1進むごとにyが2ずつ増えていきます。変化の割合を式にすると「a = yの増加量 ÷ xの増加量」です。

 また、切片とはy軸との交点を指し、xがゼロのときのyの値です。たとえば「y = 2x + 4」なら、xにゼロを代入して、y=4となり切片は「4」で、座標は(0,4)です。

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一次関数の基本問題の解き方

一次関数の基本問題の解き方

一次関数の主な基本問題は、以下のとおりです。

  • ・変化の割合を求める
  • ・yの増加量を求める
  • ・グラフから式を求める
  • ・値から式を求める
  • ・x軸との交点の座標を求める
  • ・変域を求める

ここからは、具体例を挙げつつ、一次関数の基礎問題の解き方を解説します。

変化の割合を求める

【問題】

xが1から4に増加したとき、yは2から8に増加したとします。この場合の変化の割合を求めてください。

計算を解くために、まずはxとyの増加量を計算します。

xの増加量は「変化後のxの値 - 変化前のxの値」で計算できるため、4 - 1 = 3

同じく、yの増加量は「変化後のyの値 - 変化前のyの値」なので、8 - 2 = 6

そして、変化の割合を求めるには「a = yの増加量 ÷ xの増加量」を使います。

a = 6 ÷3、つまり変化の割合は「2」となります。

yの増加量を求める

【問題】

y = 3x + 6において、xが1から5まで増加する場合のyの増加量を求めてください。

 計算を解くために、まずはxの増加量を計算します。

 xの増加量は「変化後のxの値 - 変化前のxの値」なので、5 - 1 = 4

 傾き・変化の割合は「3」です。「a = yの増加量 ÷ xの増加量」を使って「3 = y ÷ 4」で 12となることがわかります。

 なお、xの増加量を求める場合も考え方は同じです。まずyの増加量を計算し、傾き・変化の割合の公式に当てはめます。

グラフから式を求める

【問題】

x軸交点(-3,0)と、y軸交点(0,6)を直線で結ぶ式を求めてください。

 この問題を解く場合、まず一次関数の式「y = ax + b」を書き出します。

 そして、切片bはy軸との交点であるため「y = ax + 6」と置き換えます。

 次に傾き・変化の割合aを計算しましょう。

 問題では、xが3つ進むとyが6増えています。

つまり、xの増加量はマイナス3、yの増加量は6であり「a = yの増加量 ÷ xの増加量」に当てはめると「a = 6 ÷ 3」です。傾き・変化の割合は「2」だとわかります。

 最後に「y = ax + 6」にa = 2 を当てはめれば、解答は「y = 2x + 6」となります。

値から式を求める

【問題】

2点(1,6)と(3,10)を通る直線の式を求めてください。

 この問題では、まず点を一次関数の式「y = ax + b」に置き換えた後、連立方程式を使えば解答できます。

 (1,6)を一次関数の式に置き換えると「6 = a+b」となり、(3,10)は「10= 3a+b」となります。

「6 = a+b」と「10 = 3a+b」は連立方程式を用いれば計算が可能です。

 どちらの式もbが同数であるため「10 = 3a+b」から「6 = a+b」を引いて「4 = 2a」となります。つまり、傾き・変化の割合は「2」です。そして、傾き・変化の割合「2」を「6 = a+b」に当てはめれば、切片が4とわかります。

 最後に傾き・変化の割合「2」と切片「4」を一次関数の式に当てはめた「y = 2x + 4」が解答です。

 連立方程式の理解が不十分で問題が解けなかったという方は、以下の記事を参考にしてみてください。

関連記事:【中学数学】連立方程式とは?問題例や解き方についてわかりやすく解説

x軸との交点の座標を求める

【問題】

一次関数 y = 3x + 6 のx軸との交点の座標を求めてください。

x軸の交点とは、yがゼロの座標を指します。

「y = 3x + 6」にy=ゼロを代入すると「0 = 3x + 6」、つまり「-3x = 6」であり「x = -2」となります。そのため、解答は(-2,0)です。

もしy軸との交点を求めるという問題なら、xにゼロを代入した数字である(0,6)が解答となります。

変域を求める

【問題】

一次関数 y = 4x + 5 において、yの変域が13 ≦ y ≦ 45だとします。この場合のxの変域を求めてください。

 変域を求める場合、最小の数字と最大の数字の2回計算すれば解答できます。

 最小の数字の計算では「13 = 4x + 5」となり、解答は「x = 2」です。

そして、最大の数字の計算では「45 = 4x + 5」となり、解答は「x = 10」です。

 つまり、xの変域は「2 ≦ x ≦10」とわかります。

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一次関数の応用問題の解き方

一次関数の応用問題の解き方

ここからは、一次関数の応用としてよく出題される以下の問題を紹介します。

  • ・水槽の問題
  • ・距離の問題
  • ・動点の問題

一次関数の応用は文章問題として出題されるため、文章から公式や解き方に置き換える力が必要です。

水槽の問題

【問題】

50リットルで満水となる水槽に、10リットルの水がすでに入っています。ここに毎分5リットルずつ水を入れていきます。水を入れ始めてからx分後の水槽の水の量をyリットルとしてyをxの式であらわしてください。

 最初から入っている水は時間経過とは無関係ですでに存在しているため、傾き・変化の割合ではなく切片だとわかります。つまり、切片bは「10(リットル)」です。

そして、毎分5リットルの水を入れるため、1分経過するごとに水槽には5リットルずつ水が溜まっていきます。水の溜まる量が変化の割合を示しており、傾きaは「5(リットル/分)」です。

 切片と傾き・変化の割合がわかったので、一次関数の公式「y = ax + b」に置き換えると「y = 5x + 10」が解答となります。

距離の問題

【問題】

自宅から5,000メートル離れた駅まで、徒歩とバスで移動しました。

自宅からバス停までは歩いて1,000メートルあり10分かかります。また、バス停から駅まではバスで5分かかります。x分後の道のりをyメートルとして、バス停から駅までのyをxの式であらわしてください。

 この問題では、まず自宅からバス停までの時間(x)と距離(y)、自宅から駅までの時間(x)と距離(y)を座標であらわします。

 自宅からバス停までは10分、1,000メートルであるため、(10,1000)となります。

 自宅から駅までの距離は5,000メートルであり、徒歩とバスで15分かかるため(15,5000)です。

 この2つの座標をそれぞれ、一次関数の公式「y = ax + b」に置き換えると以下のようになります。

1.「1,000 = 10a + b」

2.「5,000 = 15a + b」

 2つの式を連立方程式で計算すると「4,000 = 5a」、つまり「a = 800」になります。そして、a = 800を「1,000 = 10a + b」に当てはめると「b = -7,000」です。

 つまり、この問題の解答は「y = 800x - 7,000」となります。

動点の問題

【問題】

AB辺が5メートル、BC辺が10メートルの長方形があります。

長方形ABCD上には点Pがあり、点PはAを出発して毎分1メートルの速さで、長方形の周上をAからDまで移動します。

このとき、点PがAを出発してx分後の三角形APDの面積をy平方メートルとします。

点Pが辺ABにあるときyの変域を求めてください。

この問題を解くには、まず一次関数の式を求めます。そして、求めた式にxの変域を当てはめなければなりません。

点PはAを出発しBに向かうため、点Pを頂点とする三角形の底辺であるCD辺の長さ10メートルのまま変わりません。点Pが動いて変わるのは、高さであるAB辺のみです。

三角形は「面積 = 底辺 × 高さ ÷ 2」の公式で求められます。

底辺は点PがBC辺に移動する前までは10メートルで固定、点PがAB辺を移動すると高さが1分ごとに1メートル進むわけです。この問題では高さが変化するため、変化する場所はxとして置き換えます。

これを三角形の面積の公式に当てはめると「10 × x ÷2」、つまり面積は「5x」です。この5xは時間経過とともに増えたり減ったりするため、傾き・変化の割合だとわかります。

また、出発点の三角形の面積はゼロであるため、切片はゼロとなります。

これを一次関数の公式「y = ax + b」に置き換えると「y = 5x (+ゼロ)」です。

そして、AB辺は5メートルしかないためxの変域は「0 ≦ x ≦ 5」です。これを「y = 5x」の式に当てはめると、yの変域は「0 ≦ y ≦ 25」となります。

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まとめ:一次関数を解くには問題を読み込む力が必要

まとめ:一次関数を解くには問題を読み込む力が必要

一次関数は問題の形式がいくつもあり、グラフや図形、文章などでも出題されます。出題の形式が豊富であるため、苦手としている中学生もいるはずです。もし一次関数の問題に苦戦しているのであれば、以下の勉強法を試してみてください。

この記事のまとめ
  • 一次関数を勉強するときは、まず、傾き・切片、変化の割合の意味を覚えよう
  • xやyの増加量を求める問題やグラフから式を求める問題などの基本問題は、出題される問題のパターンを把握する
  • 文章問題は、xとyの関係を一次関数に落とし込む練習をする

 

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