中学1年生で学ぶ「文字式」について、見慣れない数式でなかなか理解が進まずに悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
本記事では文字式について、意味やルールを解説します。
まずは「文字式の表現方法や計算ルールを説明できる」「文字式を含む計算ができる」ように、本記事を参考にして文字式の理解を深めてみてください。
文字式とは
文字式とは、数字と文字を組み合わせて表される式のことです。
▼例
3a + 2
文字式を使うのは、具体的な数の値がわかっていない「未知数」の場合や、さまざまな値を当てはめられる「変数」の場合などです。たとえば上記の例であれば「a」の値は未知数、もしくは変数だと考えられます。また「3a」と「2」は項と呼び、文字に係る「3」は係数と呼ばれます。
文字式は中学数学で学ぶ「方程式」や「関数」の分野で欠かせない知識になります。数字の代わりに文字を使うことに、早いうちから慣れておきましょう。
文字式のルール
文字式ではいくつかのルールが存在します。
表現方法
文字式では、掛け算の記号「×」は省略されることが多く、割り算は分数で表されます。
▼例
・掛け算の場合→3a(3 × a のこと)
・割り算の場合→a/6(a ÷ 6のこと)
掛け算の場合、係数は必ず文字の前に記載する点に注意をしましょう。
ちなみに同じ文字同士を掛け合わせる場合には指数を使います(例:a × a = a²)。また、異なる文字を掛け合わせる場合には文字を並べて表します(例:a × b = ab)。この際に、文字はアルファベット順に書くのが一般的です。
一方で、足し算や引き算を表現するときには文字と数字をまとめません。
▼例
・足し算の場合→a + 2
・引き算の場合→5b - 1
この際に、同じ文字同士を足し引きする場合には、その和や差を記載します(例:a + 2a は「3a」と記載します)。また、異なる文字を足し引きする場合には、文字が同じ同類項だけまとめて、異なる項はそのままにします(例:a + b + 2aは「3a +b」と記載します)。
計算方法
文字式を計算する際には、掛け算と割り算を優先して、次に足し算と引き算を行います。
また、括弧内の計算は最優先で行います。同じ文字を持つ項(同類項)は、係数をまとめて計算することができます。
▼例
(4x + 8x)× 2 - 3y + 3x² + 7x
こちらの計算式の場合、まず最初に括弧内の計算を最優先で行い、次に掛け算を行い、最後に同類項をまとめる流れになります。ちなみに計算の結果は「31x - 3y +3x²」になります。
また、括弧の外にある数と括弧の中にある数を掛け算する場合には「分配法則」という考え方を活用します。
▼例
4 × (2x-3)
上記の計算式では、分配法則の考え方を用いると「(4 × 2x)-(4 × -3)」で「8x -(-12)」で「8x + 12」になります。括弧を外す場合、たとえば「-(-a)」は「-1 × -a」と解釈できるため「+ a」となる点に注意が必要です。
文字式に関する計算問題例
文字式に関する計算問題をいくつか紹介します。
あわせて解答も記載しますので、まずはゆっくり考えてから答え合わせをしてみてください。
問題①(乗算・除算)
問題:次の文字式の計算結果を求めなさい。
A:2x × 8
B:3x × 4y
C:3x × 3x
D:-3 × 4xy × 3x
E:x ÷ y × z
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↓
↓
↓
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解答:Aは16x、Bは12xy、Cは9x²、Dは-36x²y、Eはxz/y
補足:
Aについて、文字を含む掛け算の場合は係数をまとめるため「(2×8)× x」で「16x」になります。
Bについて、文字を含む掛け算の場合は係数同士、文字同士をまとめるため「(3 × 4)×(x × y)」で「12xy」になります。
Cについて、同類項の掛け算の場合は指数で表すため「(3 × 3)×(x × x)」で「9x²」になります。
Dについて、文字を含む掛け算の場合は係数同士、文字同士をまとめるため「(-3 × 4 × 3)× (xy × x)」で「-36x²y」になります。
Eについて、文字を含む掛け算・割り算の場合は文字同士をまとめるため、左から順番に計算すると「 x/y × z」で「xz/y」になります。
問題②(四則計算)
問題:次の文字式の計算結果を求めなさい。
A:10x + 4x
B:4x + 5 + 5x
C:− 2 − 3x + 7 − 5x
D:10x² + 10x + 5x
E:2 × 6x × 3x² + 3x
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↓
↓
↓
解答:Aは14x、Bは9x + 5、Cは- 8x + 5、Dは10x² + 5x、Eは36x³ + 3
補足:
Aについて、文字を含む足し算の場合は同類項同士をまとめて「14x」になります。
Bについて、文字を含む足し算の場合は同類項同士をまとめて、異なる項はそのままにすると「9x + 5」になります。
Cについて、文字を含む足し算・引き算の場合は同類項同士をまとめて、異なる項はそのままにすると「- 8x + 5」になります。
Dについて、文字を含む足し算・引き算の場合は同類項同士をまとめて、異なる項はそのままにすると「10x² + 5x」になります。
Eについて、文字を含む掛け算の場合は係数同士を掛け合わせて、同じ文字を掛け合わせる場合には指数を使います。そのため「(2 × 6 × 3)×(x × x²)」で「36x³」になります。また、文字を含む足し算の場合は、異なる項はそのままにして「36x³ + 3x」になります。
問題③(分配法則)
問題:次の文字式の計算結果を求めなさい。
A: (3x + 2) × (−3)
B:2(3x + 4)
C:(6x + 9) ÷ 3
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解答:Aは-9x - 6、Bは6x +8、Cは2x + 3
補足:
Aについて、分配法則の考え方を用いると「(-3 × 3x)+(-3 × 2)」で「-9x +(-6)」で、括弧を外して「-9x - 6」になります。
Bについて、2(3x + 4)とはつまり「2 ×(3x + 4)」を意味します。そのため分配法則の考え方を用いると「(2 × 3x)+(2 × 4)」で「6x + 8」になります。
Cについて、(6x + 9) ÷ 3とはつまり「(6x + 9)×1/3」を意味します。そのため分配法則の考え方を用いると「(6x × 1/3)+(9 × 1/3)」で「2x + 3」になります。
文字式に関する文章問題例
つぎに、文字式に関する文章問題をいくつか紹介します。
あわせて解答も記載しますので、まずはゆっくり考えてから答え合わせをしてみてください
問題①
問題:次の数量を、文字式で表しなさい。
A:1冊で450円の本をx冊購入した場合の金額
B:100円のりんごをx個と、200円のバナナをy個購入した場合の金額
C:1辺の長さがxcmの立方体の体積
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解答:Aは450x円、Bは100x + 200y円、Cはx³cm
補足:
Aについて、合計金額は「450円 × x冊」で表せるため「450x円」になります。
Bについて、合計金額は「100円 × x個」と「200円 × y個」を足した数になるため「100x + 200y円」になります。
Cについて、立方体の体積は縦×横×高さで求められるため、1辺の長さがxcmの場合は「xcm × xcm × xcm」で「x³cm³ 」になります。
問題②
問題:a = 10、b =4のとき、次の式の値を求めなさい。
A:4a + 3b
B:3a/6 - 5b/2
C:2(a+b) + 2a/2
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解答:Aは52、Bは-5、Cは38
補足:
Aについて、値を代入すると「(4 ×10)+(3 × 4)」になるため、52になります。
Bについて、値を代入すると「(3 × 10)÷ 6 - (5 × 4)÷ 2」になるため、-5になります。
Cについて、値を代入すると「2 ×(10 + 4)+ (2 × 10)÷ 2」になるため、38になります。
問題③
問題:あるテーマパークの入場料は、子どもが1人x円、大人が1人y円である。このとき、下記の式はそれぞれどのような数量を表しているか答えなさい。
A:2x + 6y
B:50,000 -(3x + 8y)
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解答:Aは「子ども2人と大人6人で入場したときの合計料金」、Bは「子ども3人と大人8人で入場したときに50,000円を払ったときのお釣り」
補足:
Aについて、子ども1人の入場料金がx円のため「2x」は子ども2人の入場料金であることがわかります。また、大人1人の入場料金がy円のため「6y」は大人6人の入場料金であることがわかります。つまり「2x + 6y」は子ども2人と大人6人の入場料金の合計であると考えられます。
Bについて、Aと同じ理由から「3x + 8y」は子ども3人と大人8人の入場料金の合計であることがわかります。また、50,000円から入場料金の合計金額を引いた差分は、支払いに対するお釣りであると考えられます。
まとめ
本記事では、文字式の基礎知識について解説しました。文字式とは、数字と文字を組み合わせて表される式のことです。
まずは文字式の表現ルールや計算方法を把握して、簡単な式を作成できるようになりましょう。また、文字式は「方程式」や「関数」など、これから中学数学で学ぶ分野では欠かせない知識になるため、繰り返し練習問題を解いて慣れてみてください。
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